TALQu中の人コンテスト2021にエントリーしていました
2021年8月22日~9月4日にTwitterで開催された「TALQu中の人コンテスト2021」。
「TALQu」はHaruqaさんが個人で開発されている、とても音質の良い無料音声合成ソフトです。今回の優勝者はなんと、このTALQuの、通常よりもさらに高品質な音声モデルを作れるのです…!
普段は手にすることが難しい、高品質TALQuモデルの作成権。これがどうしてもほしくて、小春音アミもエントリーさせていただきました。
コンテストでは、「Twitter一般投票」と「クリエイター投票」の合計で優勝者が決まります。たくさんの方の応援なくして優勝することはできません。
一般投票では2位
アミはありがたいことに、コンテスト序盤は一般投票1位をキープすることができていました。
ところが、人気VTuberさんが参戦された3時間後には2位に転落。そこから票差は開くばかりで、最終的には約200票の大差となってしまいました。
今回のコンテストはクリエイター投票の重みがとても大きいので、クリエイター投票次第で順位が入れ替わる可能性はあります。
とはいえ200票の差を覆すには、1位の候補者さんへのクリエイター投票数+10~20名分のクリエイター投票をいただかなくてはなりません。正直にいって、かなり厳しい状況でした。
でも、私にはどうしても今回のコンテストで優勝したい理由がありました。
あみたろの想い
私は幼稚園の頃から、声を録音して遊ぶのが大好きな子供でした。
おばあちゃんにもらったレコーダーに向かって、いろんな声で絵本を読んだり、折り紙の折り方を説明したり、幼稚園で習った歌を歌ったり。そうやってラジオ番組のようなものを作るのが、何年ものあいだ日課になっていました。
教育方針の厳しい家に育った私は、子供らしい娯楽にあまり縁がありませんでした。叔母のおさがりのおもちゃや漫画には馴染めなかったし、ゲームやテレビもわからなくて友達との会話にもついていけず、とにかく息苦しく感じていました。
でも、おばあちゃんがくれたレコーダーに向かっている時間だけは、楽しくて仕方がありませんでした。
中学生になったら、ピアノで弾いた曲を左のレコーダーで再生しつつ、別パートを弾きながら右のレコーダーで録音…を繰り返して八重奏を録音して遊んだり。サンタさんがくれたゲーム機(!)についていたゲームのセリフを書き出して、お年玉で買ったサントラをBGMに一人何役も演じて録音したり。
そんな私がインターネットというものに触れた日にみつけたのが、同人ゲームの声優募集記事。
そこからはもう、夢中でした。学校から帰るなり毎日毎日ゲームのキャラを演じ続けた日々は、今でも私の宝物です。
声の提供を始めた頃は、本当に未熟な子供でした。いっぱい失敗もしたし、いっぱい失礼な言動もしてしまいました。
当時の音声は今聞くとノイズもひどくて、早口で聴きとりづらくて…でも、そんな未熟者でもたくさんの人の力をお借りしていろんな経験をさせていただけたからこそ、今があります。
学生生活は最後まで息苦しかったけれど、声の活動やそこで知り合った人たちとの繋がりに救われていました。好きなことがあるって、のめりこめるって、本当にすごいことだと私は思います。
だから、今度は私がそのパーツのひとつになりたい。今度は私が若いクリエイターさんの一助になりたい。
そんな想いで、1997年から無料声素材サイトを続けてきました。
誰でも気軽に声入りの作品を作れるように、趣味にお金をかけられない学生さんでも声入りの作品を作る楽しさを味わえるように。
コツコツと声素材を作り続けて、セリフ数も2500点を超えた今、その夢はそれなりに叶えられたような気がしています。
でも、時代の流れはもっと速かった。高品質なパートボイスゲームを無料で作れる声素材屋さんを目指しているうちに、世の中はフルボイス作品が当たり前になっていました。
だったら今度は、フルボイス作品も無料で作れるようにしたい。それも、高品質で、時間もお金もかからない方法で。
誰でも自由に使えるなめらかな読み上げは、1997年から続けてきた無料声素材サイトとしての、大きな大きな夢です。
あみたろは、クリエイターさんの作品づくりを応援したい一心でここまできました。趣味にお金をかけられない人でも自由に使える音声合成の作成は、長年の悲願でした。
あみたろ声の音声合成なら、CoeFontCLOUDもあります。でも、声素材屋さんを始めた頃からの目標が「お金をかけられない学生さんにも声入りの作品を作る楽しさを」。無料でも使える上に品質の良いTALQuは、まさに理想そのものなのです。だから私は、どうしても優勝したかった。
1997年から声の提供をしてきて、こんなにも必死に何かを追いかけたのは初めてでした。
コンテスト期間中の様子
どうしてもどうしても優勝したかったので、2週間のコンテスト期間中は、なりふりかまわずひたすら宣伝をさせていただきました。
一日に何度も引用RTで宣伝させていただくのはもちろんのこと…
録音環境を公開してみたり。
アミにも手伝ってもらったり。
少しでも参考になればと、CoeFontCLOUDで合成した声を動画でご紹介してみたり。
優勝してTALQuの収録ができるようになったら、って考えて録音環境を見直してみたり。
海外ユーザーさんにも投票をお願いしてみたり。
声を使っていただいた作品をご紹介してみたり。
プレッシャーに負けないように、CoeFontCLOUDの録音に逃避してみたり。
ずっと前からファンだったついなちゃんに応援していただいて、思わず取り乱してみたり。
TALQuを使った動画を作って、自分でもクリエイター投票してみたり。(許可されてたので!)
アミの声素材としての柔軟性をアピールしてみたり。
いただいたメッセージに思わず涙して、自分の想いをあらためて言葉にしてみたり。
まだ投票中なのに大量録音を想像してわくわくしてみたり。
コンテスト主催者さんの悪魔のささやきにぐらぐらきそうになったり。
自分にできることは何だろうって考えた結果、声素材を大量に増やしてみたり。
いっぱい応援してくださってるティラさんのつぶやきに思わず同調しそうになったり。
エントリー動画をほめていただいて、じんときたり。
思わぬ副産物
今回のコンテストではすごく苦戦していたこともあってか、ずっと前に小春音アミを使ってくださった方や、声素材を使ってくださってる方、昔からお世話になってるけど最近は接点があんまりなかった方など、いろんな人が応援してくださいました。
こんなにもたくさんの人に応援していただいたのも、こんなにもたくさんのアミ作品を投稿していただいたのも、何もかもが初めてでした。
コンテストに参加したことで、Haruqaさんやつくよみちゃん、ついなちゃんなど、これまで遠くから見ているだけだったキャラクターさんと共演させていただく機会が増えたのもとても嬉しいことでした。毎日のように、世界が広がっていく感じがして…!
また個人的なことですが、今回のコンテストのおかげで約20年前に大好きだったお友達にも声をかけてもらえました! また会いたいなってずっと思ってた、大切な大切なキラキラした思い出の中の人と、こんなきっかけで再会できるなんて…!
何が何でも優勝したくて参加したコンテスト。まだ結果はわかりませんが、私にとっては非常に得るものの多いコンテストだったと思っています。
結果発表に向けて
結果発表は2021年9月11日。アミは本当に、どうなるかわからないところにいます。
驚くほどたくさんの方にいろんな形で応援していただきました。人の繋がりのあたたかさとみなさんの底力に背中を押されっぱなしの二週間でした。
普段はRTをあまりしないのに積極的に拡散してくださった方々、ご自身のフォロワーさんに向けて何度も何度も投票をお願いしてくださった方々、支援作品を投稿してくださった方々、初めて知ったけどと投票してくださった方々、あの手この手で少しでも票が伸びるよう考えてくださった方々…本当にたくさんの方々のおかげで、「可能性はある」といえるところにまで駆け上がることができました。
純粋なROM専の「小春音アミのファン」という人がそれほど多くはないことはわかっていましたが、小春音アミやあみたろの試みをおもしろいと思ってくれるクリエイターさん・研究者さん・技術者さんが思いのほかたくさんいてくださったことを知りました。
いただいた応援は、小春音アミというキャラの応援だけでなく、TALQuを始めとした音声合成や、アミの出身地であるUTAU界隈、新技術、クリエイター文化などたくさんのものへの支援票の集合だと思っています。
結果がどう転んでも、みなさんの想いを胸に、これからも声の提供で貢献していきます。
コンテスト期間中はいっぱい宣伝したりRT連投したり、本当にお騒がせしました。
結果が発表されましたら、またこちらでお知らせさせていただきます。
ひとまずみなさま、お疲れさまでした! 本当にありがとうございました…!
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