時々いただく「著作権表示を省略したい」というお声について、あみたろの考えを表明しておきます。
※ ラジオ番組や機械への組み込みなど、物理的に著作権表示をすることが不可能な形態の作品について
こちらはご連絡さえいただければ、個別に承諾させていただいています。遠慮なくお問い合わせください!
以前、就活中の学生さんから、就活作品として制作されている映像作品について、
「教育上での著作権に関しては許容されているし、クレジット表記をするスペースが確保できず、クレジット表記をすることで雰囲気も崩れてしまうため、表記を省略したい」
とある学生さんのメール より
という内容のお問い合わせをいただきました。
就活作品についてのお問い合わせはよくいただくので、あみたろの回答を一部掲載させていただきます。ものすごく長文です!
まず、就活作品への利用が著作権法の例外にあたるのかということについて。
「教育上での著作権に関しては許容されている」とおっしゃる根拠は、著作権法第35条でしょうか。
(学校その他の教育機関における複製等)
第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において
教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする
場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。
ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし
著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。2 公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、
引用元:公益社団法人著作権情報センター
当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、
若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、
演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、
当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して
公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。
ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし
著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
今回制作されているのは「就活作品」であって、授業で発表するための作品などではない、ということですよね。
私は法律の専門家ではないので断言はできませんが、授業で使うためではなく、ご自身を企業に売り込むために制作される「就活作品」は、35条の「授業の過程における使用に供することを目的とする」作品には該当しないような気がするんです。
なので、今回に関しては著作権法上の例外には当たらないのではないかなぁ、と思います。
(35条以外に該当する部分があるなら私の勉強不足です、すみません!)
で、それをふまえてのお話なのですが。
音声作品か、映像作品か、ゲームか、それともロボットか、どんな作品を作られているのかはわかりませんが、「表記するスペースが確保できない」というのは、そういうこともあるだろうな~と思います。
これまでにも、ラジオ放送など物理的に著作権の表記ができないものに関しては、詳細な用途をお知らせいただいた上で、著作権表記なしで利用していただいたことが何度かあります。
なので、物理的に表記できないという理由でしたら、制作される方のお名前や作品名など、「どんな作品に使われたか」を私が把握できるような詳細さえ教えていただければ、著作権表記なしでご利用いただいて大丈夫ですよ!
ただ、表記できないわけではないけど作品の雰囲気が崩れるのがイヤ、という理由でしたら、それはちょっとどうかなぁと思います。
せっかくの素敵な作品に余計な表記を入れたくないというお気持ちは、とてもよくわかります。フォントやテキストの配置など、細部までこだわって仕上げた作品ほど、完璧に仕上げたいですものよね。クリエイターの方なら当然だと思います。
でも、私の音声素材を使ってくださる作品は、
「音声素材を無償で利用するかわりに著作権についてはきちんと表記する」
というルールはみなさん守ってくださっています。
これは個人のクリエイターさんに限った話ではなく、むしろ大きな企業さんほど、しっかりと表記してくださっています。
なぜかというと、作品に音声や画像などを使うからには、その制作に携わった人の名前などがどこかに掲載されているのが「当たり前」だから。
言い換えれば、それをしていない作品というのは、「この人(あるいは企業)は、著作権法などのルールを本当にきちんと守っているのだろうか」という疑いの目が向けられる可能性があるからです。
私の知る限り、きちんとした企業さんほど、パクリや無断利用といった行為に安易に手を出すような「いい加減な人」を使うことはしません。そんな人に仕事を依頼して後々訴えられでもすれば、バイトテロ同様、とんでもない損失が発生しかねません。
つまりきちんとした企業さんほど、就活中の学生さんについてもその能力やセンスだけでなく、著作権法などについてもしっかりと遵守できる人がどうかを厳しく見ているはずです。
なので、私の音声素材に限らず、著作権情報などについては可能な限りしっかりと表記していただくのが、結果的にご自身のためになるのではないかなぁ…と、一社会人として、私は思います。
「それじゃあ著作権表示なしでいいですよ!」と言う方が時間もかからず簡単だったのですが、クリエイターの卵さんからのお問い合わせをたくさんいただく身として、こんな考え方もあるということをお伝えしたくなったのでした。おせっかい…!
その後、お問い合わせをくださった学生さんからは、驚くほどに真摯で心のこもったお返事をいただきました。この上なく誠実なお返事をくださったクリエイターの卵さんが、望む道に進み、制作を楽しまれていることを心から願っています。
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